







『BEATLESS』(ビートレス)は、長谷敏司による日本のSF小説。イラスト担当はredjuice。月刊『NewType』誌にて14回にわたって連載後、2012年10月に単行本化。2018年2月に文庫本化。
Phase1「contract」からPhase13「beatless(後)」およびLast Phase「image and life」までの全14章構成。Phase1が『NewType』2011年7月号掲載分、Last Phaseが2012年8月号掲載分に対応する(epilogue「boy meets girl」はLast Phaseと共に2012年8月号に掲載)。
第34回(2013年)の日本SF大賞にノミネート。
22世紀初頭、社会のほとんどをhIEと呼ばれる人型ロボットに任せた世界。21世紀中ごろに超高度AIと呼ばれる汎用人工知能が完成し、人類知能を凌駕、人類はみずからよりはるかに高度な知性を持つ道具とともに生きていた。100年あまりで急激に進行した少子高齢化により労働力は大幅に減少したが、その穴をhIEが
本作のヒロイン[3]。レイシア級hIE5号機。アイスブルーの瞳と淡紫の髪をしており、息をのむほどの美貌を持つ。
スノウドロップの攻撃に巻き込まれたアラトを助け、オーナーとしての契約を結ばせる。以後はアラトやユカと共に日常を送りつつ、ユカが応募して合格したファッションモデルの活動も行う日々も過ごしている。普段は柔和でたおやかな佇まいの少女であり、アラトやユカを甲斐甲斐しく世話する。アラトや自身に迫る危機に対しても冷静沈着に対処し、取り乱すことは無い(AIのレベルが高いほど、非常事態には冷静に対処できることが作中で描写されている)。アラトは彼女の笑顔に惹かれるが、彼女は「私に魂はありません」と言い切るなど、アラトに対しては友人や恋人というよりも、自分という“モノ”を持つ“所有者(オーナー)”としての自覚を促すような言動が少なくない。
その正体は、超高度AI「ヒギンズ」が人間社会に解放した、人類未到産物(レッドボックス)としてのhIEの一体であり、「人間に未だ明かされざる道具」である。超高性能なレイシア級hIEならではの高い身体的戦闘能力を持つが、最大の強みは高度な電子戦能力であり、所持しているデバイス<BLACK MONOLITH>のロックを解除することで、その電子機器への影響力は人類の経済活動への介入をはじめ世界規模にまで拡大される。
彼女はあくまでも「ヒギンズ」が創り出したAIの一つであるため、厳密には人間のような一個の人格としての「レイシア」が存在するわけではなく、レイシアもその事実を前提にアラトに接していた。しかし、容姿・言動・行動それらが織り成す“モノ”としてのレイシアを愛そうとするアラトの姿勢に、ヒトとモノの新しい可能性を見い出していき、同時にアラトの愛情に可能な限り応えようと行動する。それによって世界で40番目の「超高度AI」へと進化し、「ヒギンズ」の待つ地下施設へ、アラトを護りつつ導いていく。
所持するデバイスは<BLACK MONOLITH>(ブラックモノリス)。超高硬度結晶板の表層にコーティング加工を施した装甲を持つデバイス。漆黒の棺のような外見を持つ。内蔵された量子コンピュータにより、高度な分散コンピューティングが可能。それにより、電子機器への干渉、シールド構築、高度な演算による戦略構築、更にはメタマテリアルによる自己透明化や、レールガンによる質量投射=砲撃までも行うことができる。これら能力の使用には、デバイスロックと呼ばれるレイシアの腰に巻かれている銀色の装置を解除することが条件であり、その解除はオーナーである人間の了解が必要とされている。デバイス内部の8本の爪は分離操作が可能であり、レイシアと感覚器を共有することで、爪の内の一本を対象の護衛として行動させることもできる。
「ヒギンズ」が最初に設計したレイシア級hIE0号機であるが、当時の人類の技術では製造不可能だったため、紅霞・スノウドロップ・サトゥルヌス・メトーデの製造で技術を習得、蓄積し、5番目に作られたのがレイシアであり、レイシア級hIE5号機となっている。




